ブライダルストーリー_お母さんが花束を受け取る日

結婚式当日、ブライズルームに届けられた母が作ったブーケは、
美咲が想像していた以上に華やかで美しかった。
白いバラとカスミソウを束ねた、優しい雰囲気のブーケ。
美咲のことを誰よりも知る母だから作れるものだった。
美咲は鏡越しにブーケを届けにきた母に向けてお礼を言った。
「お母さん、ありがとう。やっぱり私の好きなの分かってるね」
「当たり前でしょ。何年あなたのお母さんやってると思ってるの」
母は得意げに言って笑った。
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美咲の母は、小さな花屋を営んでおり、
三十年以上、誕生日や記念日、結婚式など、誰かの大切な日のために花束を作り続けてきた。
美咲が成長する節目でも例外ではなかった。
ピアノの発表会には花冠を。
何でもない日には、お店に残った花で小さな髪飾りを。
卒業式には、一輪の花を。
美咲にとって、母から花をもらうことは特別なことではなかった。
それくらい、いつも暮らしの中に花があった。
美咲は結婚が決まるとすぐに
「お母さんにブーケを作ってほしい」とお願いした。
母は喜んで引き受けてくれたが、ドレスの写真を何度も眺め、
使う花やイメージに悩んでいるようだった。
「ふふ、お母さん、今まで何百個も作ってきたんでしょう?」
美咲はちょっと意地悪な言い方をしてみた。
すると、
「何百個作ってきても、美咲の結婚式は一回しかないでしょう?
これを渡したら、ほんとにお嫁に行っちゃうんだなって思って」
ドレスの写真から目を離し、メガネをとって美咲の顔を困ったような表情で見た。
「そんなことないよ・・・・」
笑って言ったが、美咲も同じ気持ちでいた。
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実は美咲も、母には内緒でひとつだけ準備していたものがあった。

披露宴も終盤を迎え、感謝の手紙を読み終えた美咲のもとへ、スタッフが花束を運んできた。
ピンクのガーベラ、黄色いバラ、白いトルコキキョウ。
カラフルで可愛いけど、少し形が不ぞろいな花束。
スタッフにそっと手渡され美咲はその花束を持ち、
ゆっくり歩きながら母の座っているテーブル席の前に立った。
パッとスポットライトが当たり、何が起きているのかわからず、
驚いている母に向かって美咲は語りかけた。
「ここからはお手紙の続きです。お母さんは、これまでずっと、誰かのために花束を作ってきました。
でも私は、お母さんが誰かから花束を受け取っているところを、見たことがありません」
そこまで言うと、美咲の声が震えた。
「だから今日、人生で初めて、私が作った花束をお母さんに贈ります。・・・」
「今日は、誰かのために花を作る人ではなく、花束を受け取る人になってください。」

母は花束を受け取ると、しばらく何も言わなかった。
長さもそろっていない。花の向きもばらばらだったが、
母は、花束をじっと見つめて言った。
「・・・・・・こんなに嬉しい花束、初めてもらったわ」
その言葉に、美咲も涙をこらえながら笑った。
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結婚式は、新しい家族になる日であると同時に、
これまで育ててくれた人へ「ありがとう」を伝えられる日でもあります。
普段は言えない気持ちも、この日なら伝えられるかもしれません。
Photoriaは、そんな大切な想いを、アイテムとして形にするお手伝いをしています。
言葉にできなかった「ありがとう」を、残るかたちに。